文学賞に応募した件について
はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」
「記憶に残っている、あの日」というのはいくつかあります。
良縁に恵まれ、色んな経験をさせてくれる大人や友人が私の周りには多いからです。
そんな中でも一番記憶に残っているあの日について、触れていきたいと思います。
高校1年の春、私は軽音楽部に入ってすぐで先輩方や顧問の先生に指導を受けて日々練習に打ち込んでいました。私は関ジャニ∞が好きであることを公言していてベースの先輩にも関ジャニ∞が好きな方がいらっしゃいました。
「関ジャニ∞が好きなの?誰が好き?」
この問いかけから話ははずみ、よく面倒を見てくださるようになりました。
夏になり、うだるような暑さの中、土手を自転車で疾走する苦しみを覚えた日にあるニュースが飛び込みます。関ジャニ∞が10周年を記念しライブを行うというのです。記念すべきこのタイミングに立ち会いたい。ファンなら誰しもが思うことかもしれません。
私はバイトをしているわけではないし、お小遣い制でもなかったので、ファンクラブに入ることに抵抗がありました。故に私はチケットを諦めていたのです。きっとライブDVDはでるからそれを見よう。そう思っていました。
ある日の部活終わり、先輩に呼び止められました。
「1枚だけ10祭のチケットが余ってるからよかったら一緒に行かない?」
この時、10祭は落選者もあふれている状況でした。そんなレアチケットをくれるのか。私はとてもではないですが驚きを隠せずにいました。
「本当に私でよろしいのですか?」
そう聞き返すと貴方だから連れていきたいと誘ったとおっしゃるのです。
その時は色んなうれしさのあまり言葉が出ませんでしたが、何とか謝辞を述べてその日は少しゆっくり帰宅することにしました。
時は流れて、詳しい話を聞くことができました。どうやら私を含めて4人で行くらしく現地で集合するのだというのです。4人のうち1人は知らない人ということで少しドキッとしました。そもそもあまり遠出をしない私なので、味の素スタジアムがどこなのかから始まりどんなお連れが来るかも知らず、初めてコンサートを見るというなんだかいろんな状態の坩堝と化して、もう当日が来ないことにはなんとも言えないという状態となってしまいました。
8/9、現地は雨で翌日に台風が当たるとか本当は当日だとかいう予報でした。とにかく天気が悪いのです。普段遠出をしないような子ですから恐ろしくやぼったいのです。恥ずかしながらその時、迷彩の合羽を着ていたような記憶があります。
人の波はある一定の場所に向かって前進していて流れるプールさながら私はその流れに身を任せ進んでいくだけでした。案の定、目的地についた私は現地で会うはずの先輩方を待つわけです。8/8にはグッズを買いに行って、なけなしのお金を使って必要なものを事前に買いそろえています。少し待つと見知った人影を見つけたので私は駆けつけました。
中には無数の人が今か今かと心待ちにしている様子がわかります。多くの人が女性で思い思いのファッション、団扇、髪型をしているのです。ここで私はどんどん現実と乖離していきました。
少しすると人々が同じ言葉をリズミカルに口にするのです。これは進研ゼミで出たやつだと言わんばかりに私はすぐに察しました。これが俗にいう「エイトコール」なのだと。私も見よう見まねでやってみようと思い、少し小さな声で始めました。時間がたつにつれて周りの声は次第に大きくなります。期待値に比例していることがわかるのです。私は典型的な日本人なので人に合わせて声のボリュームを上げていきました。
あたりの照明が変わり映像が始まると妙なそわそわ感があたりをつつみました。ドンという音を合図にライブの火ぶたは切って落とされたのです。
そこからというもの白昼夢のような感じであっという間にコンサートは幕を閉じました。
初めてのライブ。これが私のあの日です。周りの息遣い、関ジャニ∞が遠いこと、スタジアムは暑いこと色んな事を教えてくれた1日でした。
それでは今日はこの辺で。